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Home / 恋愛 / 幼馴染の専業ニセ嫁始めましたが、どうやらニセ夫の溺愛は本物のようです / 9.なりふり構わない意地悪令嬢に、ニセ嫁タジタジざまぁーす。 その4

9.なりふり構わない意地悪令嬢に、ニセ嫁タジタジざまぁーす。 その4

Author: さぶれ
2025-06-22 14:48:14

「まあ…それでは、三成家が衰退してしまうのではないでしょうか? 花蓮なら一矢様を全面的に支え、今後ご活躍される一矢様のバックボーンとなることが出来ますのに」

 庶民ですみませんね、って言いたいわぁ…。

「花蓮、色々考えてくれてありがとう。しかしもう決めたことだ。家庭を持つ以上は、必ず自身の会社を大きくし、成功させる努力を惜しまない。しかし三条家の助けも必要だ。今後とも変わらず懇意にして欲しい。どうか、よろしく頼む」

「一矢様…」

 花蓮さんは目に涙を浮かべて、一矢を見つめた。「花蓮は、ずっと…幼い頃から、一矢様をお慕いしておりました」

 あぁ…ごめんなさい…。あなたも一矢がほんとうに好きなのね。

それなのに、偽装でごめんなさい。ニセだから胸が痛んだ。

「花蓮の気持ちは嬉しいが、それは私が兄の様に接していたから、憧れに近いものがあったのだろう。お前は私にとって妹みたいな存在であったから、つい、兄の様に振舞ってしまったことは侘びよう。すまなかった。でも、花蓮は素晴らしいレディ―だ。私なんかよりも、もっとお前に相応しく素晴らしい男性に出会えるはずだ。見分を広めるといい。籠の中の鳥である必要は無い」

 はあー。普段の一矢とはぜんぜん違う。

 こんな一面もあるのね。すごく饒舌だわ。世間を渡り歩かなくてはいけないのだから、このくらいは朝飯前なのね。

 ご令嬢を深く傷つけないように、しっかりとお断りするそのスマートさ。天晴よ。

「解りました。一矢様のご結婚、祝福させていただきます。どうか、お幸せに」

 花蓮さんが微笑んだ。本物の花の様に美しい。一矢によく似合っている。下品な私よりもずっと、お似合いだ。ニセ嫁を語って申し訳ない。

「一矢様、わたくし、伊織様とお話してみたいわ。よろしくて?」

 ご令嬢の目が鋭く光った。

 ちょっと待って。これ…嫌な予感しか無いんだけど…。

「伊織、どうだ? 花蓮と少し話してくれるか?」

「はい、喜んで」

 嫌とは言えずに微笑んだ。

「花蓮のお部屋にいらして、伊織様。一矢様との思い出の写真が沢山ありますの。アルバム見ながらお喋りしましょう」

 いーやーあー。

 心の叫びとは裏腹に、速攻で部屋を連れ出されてしまった。跡が残るくらい強い力で腕を掴まれた。ゴテゴテのネイルを施した鋭い爪を立てられる。痛い…。

 さあ、ご令嬢との対決――どうなる!?

「こちら
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